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委員長
「では、これから委員長を決めたいと思いまーす」
担任のやる気の無い声で6時間目が始まった。
お爺ちゃんって感じの担任である。
「誰か候補者いますか? 無ければ適当に選びますけど……」
教室内が騒めき出す。
「お前がやれよ」
「やだよ。お前こそ立候補しろよ」
「誰がやるんだろ?」
「立候補する奴なんているのかよ。悪目立ちしそうだし」
「立候補して死んだらどうするんだよ」
「委員長になったら、肝臓壊しそうだし」
そんな声が教室中で聞こえる。
やっぱり誰もなりたくないよなぁ。
「おぉ、高橋さんやってくれるかな?」
1人の女の子が手を挙げた。
「はい。立候補します」
「ありがとう。他に候補者は、居なかったら高橋さんになってもらうけど」
教室に数秒の沈黙が生まれる。
「では高橋さんで。じゃあ頑張ってください。皆さん拍手」
拍手に答える形で、高橋さんが一礼をする。
高橋 尚子。ロングヘアーでおとなしい印象の女の子。正直彼女が立候補するのは意外だった。
放課後になり教室に人数もまばらになってきた。
「しゅうじー。帰るぞー」
「おう」
2人とも部活動には所属しておらず、帰り道も同じなので、何となくいつも一緒に帰っている。
「ちょっと待って」
教室を出ようとした俺たちに、声をかけられた。
振り返ると高橋さんがいた。
「高橋さんどうしたの? 俺に用事? それとも修司?」
「2人ともによ」
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