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良いことは続くもので、ガイエスブルグにとっての朗報はそれだけに留まらなかった。
かねてグラナダ海軍のスフォルツァがハインリッヒに約束した、海兵隊およそ100名が、年明け早々に城に到着したのだ。
海兵隊長のパオロ・ボルジアと名乗ったのはおよそ海兵隊に似つかわしくない、腰に吊るしたサーベルがよく似合う貴公子面の若者だった。が、隊長にまでなるくらいだから見た目よりはるかに強いであろうことは確実だ。
彼の下には3人の小隊長がいて、それぞれが32名を率いる。
「第一小隊長、ホセ・アントニオ・ファハルドです!」
勢いよくそう名乗ったのは褐色肌の偉丈夫だ。使い込まれた腰のトマホークが、彼の戦績を語っているようだ。
「第二小隊長、ロドリゴ・リメスです。」
静かな口調でそう名乗った長髪の男は、3人の中で唯一、ベルトに杖を差していた。
そして第三小隊長は、腰に曲刀をさした爽やかな顔立ちの若者だった。
「第三小隊長、ファン・カルロス・バラードです。」
白い歯を見せて笑いかけた。前の2人に比べて幾分フランクな敬礼をしてみせる。
「皆、よく来てくれた。コレで俺も心置きなくお宝探索に出向くことが出来るぜ。」
元々、帝国の秘宝を狙っていたスフォルツァは冗談とも本気ともつかない笑みを浮かべた。
ーーーー
「えっ、闘技大会の…?!カルロス、だっけ。何でここに?」
その日のうちに、第三小隊長のカルロスは城内でばったり陽子と再会した。
闘技大会で、司会の男が叫んでたのを彼女も、そしてカルロスもしっかり覚えていたのだ。
「よう!嬢ちゃん、アンタここにいたのか!」
と、カルロスも明るく返す。
「俺はスフォルツァ提督の部下なんだよ。閣下に呼ばれてこの下のオステンドルフに来てたのさ。」
昨年の聖夜祭で、闘技大会にいたのはくれぐれも内密にーー 彼は陽子にいたずらっぽくウインクしてそう言った。
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