序章 大陸烽火

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この時点で、ギストリア大陸には帝国以外に島国の「エールラント王国」しかなくなっていた。 「よし、大陸制覇まであと一息だ!」 年が明けた339年5月ーー グランツ帝国はエールラント王国に宣戦布告した。 大挙して上陸してきた15万の帝国陸軍は、7月には妖精族の森リーフラントを制圧、8月には聖都クインズベリーを陥落させ、法皇アレクサンダー2世以下300名の聖職者を殺戮した。 そして9月ーー 総人口57000の首都クラティアを10万の帝国陸軍が包囲するに至り、もはや大陸制覇は時間の問題と思われたが、そこにいたのはこれまでの敵と全く違っていた。 エールラントの魔導師によって世界の狭間から召喚された吸血鬼の少女芽衣は、クラティアを包囲していた帝国軍の魔力砲数百門を一時的に無力化した。 ローゼンベルク大公国の大貴族ヒッテルスバッハ公爵家の三男で、風の力を操る凄腕の騎士ランバートは、敵中に潜入し、膨大な量の食糧を燃やした。 食糧を失い、魔力砲も機能停止に追い込まれた帝国は強硬突入に打って出るが、街の中で待ち構えていたのは、ローゼンベルクの英雄「黒衣の騎士」ファウストに水の力を操る天才騎士オリーブ、妖精族の天才黒魔導師アルラ、帝国最強の騎士団「熾天騎士団」を脱走した腕利きの女騎士シャラ、強大な魔力を操る半魔の少年タウ、自らの意思を武器化して操る異世界ヴァーエンの戦士ヒロトと歌術を操る少女セキレイ、魔法と科学技術が高度に発達した異世界テルムズからやってきた人狼族最強の魔術師ウェン・フューリーなどの、そうそうたるメンバーだった。 戦いは一晩中続き、甚大な犠牲者を出した帝国軍は、食糧がほとんどなくなっていたこともあり、包囲を解いてクインズベリーまで撤退したーーーー
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