序章 大陸烽火

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ローゼンベルクは海のない「内陸国」だが、近くにファスキア王国の漁村があり、ゲリラ隊のメンバーはその漁村に上陸した。 エールラントから彼らを運んできたのは海軍ではなく刑罰の免除と引き換えに雇われた海賊船で、上陸を見届けるとエールラント宮廷から報酬をもらうべくさっさと引き揚げて行った。 ファスキアの漁村から森を抜け、半日も歩けばそこはローゼンベルク大公国の領土だ。 淫魔サキュバスの妨害を退け、苦労しながら一行は大公国最東端の街オステンドルフにたどり着いたが、そこはかつて敵将ステッセルの策に乗って祖国を裏切ったラッツェンベルガー伯爵の領地だった。 ヒッテルスバッハ公爵家の三男ランバートは、絶世の美青年で、つまり変装は不向きだ。 しかも、オステンドルフの門番は勘の良い男だった。 彼の変装を見抜いた門番が、その存在を伯爵に伝え、「街の人々の安全と引き換えに」彼は伯爵の住むガイエスブルグ城に「招待」されてしまう。 伯爵はランバートに共闘を申し出るが、伯爵の本音が保身にあることを見抜いたランバートは、にべもなく断ってしまう。 ガイエスブルグに常駐していた城代(実権者)の熾天騎士バロウルは、申し出を拒否したランバートをその邪眼で石に変え、城内に監禁した。
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