ダイサギ翔ける冬の朝

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「美鈴さん。あの・・・」 玄関ドアに手をかけようとしていた西野さんが、緊張した面持ちで振り返りました。 「僕はここに来るようになってから、随分変わることができました。ま、まぁ・・・あまり変わってないように見えるかもしれませんが、心のほうは、良い方向に変わりました。ありがとうございます」 「あら、それはとても嬉しいです。最初の頃より、随分とお相手の方の目を見てお話しできるようになりましたよね。西野さんがご自身の過去と向き合って頑張ったからだと思いますよ。それに、西野さんが来てくださる事が、私の、もちろんみーこちゃんにとっても助けになっている事もあるんですよ」 「助けだなんて・・・」 西野さんは恐縮した様子で肩をすぼめる仕草をしました。 「西野さん、心は軽くなりました?」 私の言葉の意図が分からない彼は 「え、えぇ。かなり。宇佐美と話せたのも大きいかもしれませんけど・・・それが何か?」 と、少し戸惑った表情で答えました。 隣に立っていたみーこちゃんが私を見上げて満面の笑みを見せます。 「お客様の心が晴れる事が、私たちの何よりの願いですからねぇ。ねぇ、美鈴さん」 「えぇ。そうね」 アキが、西野さんの足元で尻尾を軽快に振って無邪気に微笑んでいました。
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