神様からのプレゼント

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   でも、夫は早番だ。いつ帰ってくるかわからない。  帰宅してあたしがいなかったら、どんなひどい目にあわされるだろう。それなのにあたしは、 「はい。大丈夫です。行きます」  と、返事していた。魔が差した、ということだろう。  身支度もそこそこに、アパートを出て、裏道をいそいだ。川沿いの、車がすれ違うのがきついくらいの、細い道だ。そこを抜けていくと、ラブホテルまで十五分ほどでいける。  ところが、突然、前のほうから歩いてくる人影に気がついた。あたしは、建物の陰に身を隠した。  夫だった。  あたしは頭から血の気が引いていく気がした。  いつもなら、もっとずっと遅いのに。  ことごとく、あたしをいじめるような行動しかしない男。  うらめしくて、泣きたくなった。歯を食いしばった。  そのとき、かん高いブレーキ音と、悲鳴と、ドーンという大きな音、それに続いて車が急発進する音、もろもろの音がほとんど間をおかずに響いて、あたしが隠れている脇を、黒っぽい車が猛スピードで走りぬけていった。 (なにがあったのだろう?)  おそるおそる、夫がいたほうを覗き見た。
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