神様からのプレゼント

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 遠くのほうで、救急車のサイレンが鳴りはじめ、それはじきに遠ざかっていった。  夫はまだ帰ってこない。  あたしは立ち上がって、窓ぎわに寄った。  夕方七時を過ぎているのに、夏至に近いため、外はほのかな明るさを保っている。  アパートの前を通る道路を見おろすと、夕方の通勤ラッシュは過ぎたものの、けっこうな交通量だった。ライトを点灯している車と、無灯火の車が、半々といったところだろうか。  ふと、窓ガラスに目の焦点が合う。  たそがれていく外を背景に、ガラスが淡い鏡となって、あたしの顔を映している。みじめったらしい、女の顔。ろくな化粧品も買えず、美容院にも満足に行けない。これが三十半ばの女とは思えない。もうじき五十にもなりそうな顔をしている。  あたしはため息をついて窓から離れ、ちゃぶ台の前に腰をおろした。  茶碗も箸も並べてある。おかずは冷蔵庫のなかだ。ご飯は電気炊飯器で保温状態になっている。みそ汁はガステーブルの上の鍋のなか。すっかり冷えていることだろう。
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