大学三年・秋

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「俺と文化祭を一緒に回るのと。俺に『笑理(えみり)さん』と呼ばれ続けるの。  どっちがいいですか? 櫻井さん」 「さ、三分! 三分ください!」 「いいですよ」  出会って三年目。  (ども)る回数が少なくなり、まともに顔を見られる回数が増えたからこそ。  かあっと、身体中が燃えるように恥ずかしい。  わたしの気持ちを、知ってか知らずか。  白戸くんはわたしを見つめたまま、こぼれそうな笑顔を浮かべていた。
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