はじめての夏祭り!

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虚しい期待、品定めの目、飛び交う野蛮な単語。自分が馬鹿に思える。オークションにかけられた商品のようにも思える。凍ったパイナップル一切れで400円、屋台の裏のドラッグストアではパイナップル丸ごと一個で300円しない。神輿を担いでいる奴らは何者だ?神道を信じているのか?いや、そうは見えない。すれ違う男女は見た目だけでお互いを値踏みする。見た目の優れないもの達はその場においては既に敗者なのだが、学歴や趣味でやっと自分に言い聞かせプライドを保つ。それすらないものはまず夏祭りには出てこれない。面の皮の厚いやつらが冴えないやつを押しのけていく。押しのけられたやつらは面の皮の厚いやつらが十分遠くに行ってから悪態をつく。どちらも見苦しい。付き合う前の男女にとっては理由、付き合ってすぐの男女にとっては数あるイベントのうちの一つ、付き合って長い男女にとってはただの人混みに過ぎない。面の皮が厚いくせに表立った仕事を出来ていないやつらの出しゃばる先が夏祭りだ。下らない、気持ち悪い、ルッキズム、カースト、プライドの混ざったグロテスクスープこそが夏祭りだ。いや、正確には今見える夏祭りか。十数年前の夏祭りは本当に輝いて見えていたのだ。
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