君の自由な背中には青春の翼がよく似合う

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 もしかしたら水沢くんも、悩んでいたりするのかな? 「水沢くんはどうして屋上に?」  涙声にならないように気をつけながら尋ねる。  こんな近くで水沢くんと話すのは初めてかもしれない。  近くで見るとやっぱり端正な顔立ち。  運動系の部活に入ってないし、変わり者だとも評判だから、女子から人気はそんなに無いけれど、私は水沢くんが実はイケメンだと知っている。 「一ノ瀬さんは? まだ夏休みなのに、学校に来て一人で景色を眺めているなんて。――バレーボール部のことかな?」 「知っているの?」 「全部じゃないよ? 知っていることだけ。……でも、大変だったね」  水沢くんは私の方は見ずに優しい声でそう呟いた。  あれ、なんだろう? 胸の奥から何かが溢れてくる。  息が苦しい……。
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