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一つ目は、発毛剤。
毛が新たに生える薬品ができるなど、
微塵も期待されていませんでしたから驚くべきことです。
髪無人は我先にと発毛剤を頭に振りかけました。
ところで皆さん、発毛剤を使用してから効果が出始めるまでに
通常どれくらいの期間を要するかご存知ですか?
四ヶ月です。長ければ半年、いや一年に及ぶことだってあります。
彼らはそんなに待てなかった。
数時間経っても成果が見られないので、龍玄は次の計画を実行へと移しました。
二つ目の禿隠し道具は、かつらです。
現代ではウィッグと呼ぶ人も多くなってきましたね。
頭に被せるだけで誰もがフサフサ。アメイジング。
これまた髪無人がこぞって取り付けました。
皆がようやく安心だと胸を撫で下ろした頃、
壁の破壊される爆音が響き渡りました。
禿狩族が本部へ侵入してきたのです。
到頭、奴は皆のいる研究室にまで入ってきました。
髪無人は右往左往し、ただ恐れ慄くばかり。
ですが、人間側には秘密兵器かつらがあります。
早々に見破られることはないだろうと高を括っていました。
が、禿狩族が鎌を振るう度、
空中へ幾つものかつらが飛び上がるわ、飛び上がるわ。
龍玄の発明は二つとも失敗に終わったのです。
このとき、音を聞きつけた本部の職員が一人駆けつけてきました。
「何かありましたか? ......え!?」
職員は禿狩族の姿を見るや否や、絶句。
驚愕のあまり動きの固まってしまった職員に、龍玄は必死に命じました。
「最終計画に移る。今すぐにだ」
「......はい!」
職員が研究室を出ていくのを見届けると、
次に龍玄は髪無人に呼びかけました。
「皆さん、逃げますよー!」
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