夢のお告げ

1/1

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ

夢のお告げ

 場所と時間のおおよその見当がつき、双子のもう1人が(りょう)だと分かった。残るは生玉(いくたま)だけだ。  家に帰り、再び神之森(かんのもり)の校歌を読み直す。手帳を返してもらえなかったのは痛い。他の暗号を試せない。  今日はいろいろなことがあり、頭が働かなかった。校歌を眺めながら机に突っ伏し、うとうととした。  夢うつつの中で瓜田の言葉が思い浮かんだ「中庭がどうかしたんですか?」もんやりとした意識の中で稗田は学校の中庭に行っていた。  中庭には松がたくさん植えられている。池の中にぽつんとそびえる岩。その割れ目に見事な松の盆栽が植えられている--。  そこまで夢をみて稗田は飛び起きた。7マス×7マスの中心の文字を漢字にすると『巌(岩)、松、我(割れ)』となる。  中庭にあるのかもしれない!!  さっそく、明日必要になりそうなものを用意した。リュックに長靴を折りたたんで入れ、軍手やシャベル、ビニールシート、剪定(せんてい)ばさみ、小さなノコギリ、ミニランタンを入れた。  来年、坂下高校を受験する弟が「夜中に何やってんの?」とノックもなしに部屋に入ってきた。 「明日部活でちょっとね。」 「母さんが、兄ちゃんも受験生なのにいつまで部活やってんのかってよ。」 「もうすぐ辞めるさ、たぶん。」 ……”契約”が無事に終わったなら。  弟は受験勉強に戻り、稗田は明日に備え眠りについた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加