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心をかき乱す力
「隠方とは何ですか? 滝川先生は何を知っているんでしょう?」
味方だと思っていた人物の裏切りに稗田は困惑していた。
「隠方っでいうのは、オレだちみだいな異界と人間の血が混ざった一族よ。どういう組織体系がは分がらね。昔々の時代がら自分だちの選んだ人を天下人に据えで裏がら政治を動かしできだんだ。
隠方どいってもピンキリさ。重要なごどを知っでるのはほんの一部の幹部だげ。先生は部分的に知っていで、それがら自分で調べだんじゃないがな。
隠方も血が薄まっできたんだよ。神宝に目が眩む奴が出だってごどは。」
「祖父も話していました。人は強大な力に目が眩み魔が差す。だから全ては知らないほうがいいのだと。奥宮のお爺さんも自分も“契約”の全てを知らないのはそのためだそうです。滝川先生は知りすぎたのでしょうか。」
「まぁ、知りすぎだっていうよりそれがそうさせだのがもな。神宝は“契約”内容を記憶するどともに、契約者を選ぶど言われでいる。人の王もそれに選ばれて初めて契約者どなる。だからそれが人を試すのさ。」
「この玉にそんな力が……。」そう言ってカバンから取り出そうとする稗田を奥宮のお爺さんは制した。
「外に出さんでくれ! それの力は強大だ。人の心をかき乱す。それが玉だどいうごどを聞いただけで心が騒ぐ。」
「…………。」
いつもは飄々としているお爺さんの動揺に返す言葉がなかった。それほど生玉には力があるのか。
「綴くんは、持ってでも大丈夫みだいだな。前ど何にも変わらねぇ。」
奥宮のお爺さんは安心させるように言った。
稗田はうなずき、昨日から気になっていたことを話し出した。
「蓮くんに、相談があります。」
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