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困ったときの三津子
龍から連絡があって、蓮と龍の入れ替わりを承諾してくれた。
それでも稗田にはまだ気がかりなことがあった。もし龍の言っている人物が人の代表として選ばれなかった場合はどうなるのか? “契約”は不成立となるのだろうか?
稗田には前々から考えていたことがあった。しかしそれを実行する手段が見つからなかった。もう滝川先生にも相談できない。
日曜日の空は、朝から澄んでいた。
稗田は自転車を走らせ、コーヒーショップねむの木に向かった。飛島隼の母親の店だ。
占い師として年長者として、助言をもらいたかった。“契約”の日に力を貸してもらう必要もあった。
コロンコロン
ドアを開けると、古くて落ち着く音色が店内に響いた。
「あら、部長さんいらっしゃい! 今日は1人?」
「はい。飛島くんのお母さんにご相談がありまして。」
「相談? 占いのほう? お客さんがこなくてヒマだったのよ〜。座って座って! 今日はコーヒーだけじゃなくオレンジジュースもあるわよ。」
「では、オレンジジュースをお願いします。」
「相談とは“契約”のことです。人の代表を用意するようにと白猫のお染さんから言われたことは覚えておられると思います。
人の代表として名乗りをあげている方が既にいるのですが、選ばれない可能性もあります。
ですから、もう一つ別案を用意しておきたくて--。」
そこまで話してオレンジジュースを一口飲んだ。
「部長さん、ずいぶん急いでいるみたいね。そして疲れているんでしょ?
今日は日曜日。みんなのんびりしてコーヒーも飲みにこない(笑)
これは前にも言ったと思うけど、なんでも1人で抱えてないで誰かに頼ってもいいのよ。重いものはね皆んなで持てば軽くなるってもんよぉ〜。」
ねむの木に来ると肩の力が抜ける。三津子がそうさせるのか店の雰囲気なのか、焦りがふっと途切れる。
三津子はだいぶ前に占い師として稗田に助言してくれていたのだ。
「これから、オカルト研究部のみんなを呼んでもいいでしょうか?」
「いいわよ〜。今日は貸し切りにしちゃう!」
そう言うとそそくさとドアに『ごめんなさい。貸切で〜す。』と丸文字で書かれたプラスチックの板をぶら下げた。
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