宿命の色

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宿命の色

 奥宮のお爺さんはマンションの外まで見送ってくれた。緋心山(ひしんさん)が名前のとおり緋色に染まっていた。  お爺さんも緋心山を見上げた。屋上には蓮が(カラス)たちと戯れている。 「いよいよだな。オレだちが引き継いできだ血の清算だ。」 夕日が照らす緋心山(ひしんさん)  勇気を胸に踏み出せよ 巌のごとき志 あぁ 神之森に この(たま)よ  稗田は、神之森高校の校歌を思い浮かべた。まるで祖父の弟さんが未来のぼくに託したメッセージのようだ。  昔も今も、いつだって未来は未知だ。  ぼくの決断が正しかったか間違えたのか、その答えはいつ分かるのだろう?  1000年に1度の“契約”のために必要な山ほどの勇気を、ぼくはどこから振り絞ればいいのだろう?  3人を夕陽が緋色に染めている。  それは抗えない宿命の色に見えた。
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