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戸惑う部員たち
翌日、稗田はオカルト研究部のメンバーに一斉メールをした。
『皆さんの力を借りたいので今日の放課後、用のない方は資料室に集まってください。』
生玉探しと並行して、“契約”の場所、時間の候補を絞っておきたかった。
--放課後、資料室の空気はぎこちなかった。
奥宮蓮と未藍の交際により、瓜田は失恋し、他の部員たちも未藍とどう接していいのか戸惑っていた。
鈴木は飛島爽玄に情報を渡していたし、望実は飛島隼をモデルにした妄想イラストを描いてネットに公開している後ろめたさがあった。
「全員で集まるのは久しぶりですね。今日は“契約”の場所と時間について皆さんの意見を聞きたくて集まってもらいました。」
稗田にもぎこちない空気は伝わっている。
「“契約”の日は、おそらく次の秋分の日です。しかしまだ場所と時間が分かっていません。」
そう言うと坂下町の地図を広げた。
「秋分の日って今年ですよね? あと5日しかないですよ……。」
「あと5日……って。」
視線が未藍に集まる。未藍は俯いている。
双子のもう1人と未藍との婚姻が間近に迫っている。
「正直言って……」鈴木が皆んなに言った。
「ぼくは、大塚さんが双子の1人と結婚すればいいと思ってる。なんで奥宮と付き合ってるのか理解できないんですけど。」
「ちょっと! それはヒドイんじゃない? 私だって奥宮蓮は好きになれないけどさ、未藍はまだ高1なんだよ!」侑香が食ってかかる。
気まずい沈黙の中、稗田が息を吸った。
「”契約”は新しく結び直されるべきだと思っています。話が通じる相手ではないかもしれない。それでも、誰かの犠牲のうえで自分たちだけ助かりたいとは、ぼくには思えません。最後まで諦めず第三の道を探すつもりです。そのイメージは出来つつあります。」
根拠は何もないが、稗田の言葉には信頼できるものがあった。
「あの……話をぶった切るようで、すみません。”契約”の時間の心当たりがあります。」
望実が口を開いた。
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