サン

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会社からバーまではたった1駅。 考えごとをしていてもいなくてもすぐに着く。 だけど、今日はなるべくはやく着きたい。 まあ青柳さんは俺がいなくてもママとかと楽しく会話できるだろうし困らないだろうけど。 あとはこの道を曲がればもうすぐそこだというところに来たとき、意外な人物が目に入った。 いや、はいってしまったというべきか。 少し長めの髪に華奢な体。 あぁ、あの白い服もみたことがある。 『克樹、俺を嫌いにならないで。』 懐かしい。 もうとっくに忘れたはずだったんだけどな。 しばらくそこに立ち止まってしまった後でそんな自分が嫌になった。 何事もなかったかのようにバーにはいると楽しそうに笑っている青柳さんが見えた。 「あ!克樹くんきた!!」 なんでだろう。 あの男なんてもう忘れ去ったはずなのに。 どうして今さら涙なんかでてきたんだろうか。
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