イチ

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会社帰りの金曜。 すっかり顔なじみになったバーへ向かった。 「あら〜、いらっしゃい♡」 いつもハイテンションで迎えてくれるのは、この店のママ。 「ども。」 ここは俺のお気に入りの店。 いわゆるゲイバーというやつだ。 いつも通りママに話を聞いてもらおうとして、 ぎょっとする。 ....号泣してる人がいる。 「あ、そうそう。この子ね〜、今日はじめての子なんだけど、ちょっと泣いちゃっててね。 よかったら克月(かつき)ちゃん話聞いてあげて!」 正直他人の、しかも大泣きしてる人の話を聞くなんて乗り気じゃない。 でもママには今までさんざんお世話になっているからさすがに断れず、とりあえず隣に座る。 「サクちゃん!この子は克樹ちゃんよ〜」 ママの声にサクと呼ばれた人がこちらを見る。 うわ、普通に美人。 泣きはらした顔でも分かる綺麗な顔をしてる。 男の美人とはこういうことか、という感じ。 残念ながら、、好みではないけれど。
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