67人が本棚に入れています
本棚に追加
涙が出た次の瞬間にどう言い訳しようか考えた。
花粉、は微妙だな。
仕事とかはダサすぎる。
けど予想外に青柳さんは何も聞いてこなかった。
「今日は、飲んじゃう?」
と笑いながらグラスを持ち上げただけ。
それに、はい。とだけ答えて隣に座って、、
それでしばらくしてから不意に話したくなった。
「あの、ちょっと暗い話してもいいですか?」
「うん、もちろん!」
「俺、もう2年くらい前に付き合ってた人がいて、その人は大学の先輩だったんですけど、」
告白はあっちからだった。
好きだから付き合ってほしいと、シンプルに。
でもひとつだけ条件があった。
「...それで付き合う時に言われたんですよ、1年だけ俺と付き合ってって。」
「なんで1年?なの?」
「結婚が決まってたんです、相手の。」
「は?」
先輩は俺のことがすきだったけど、婚約者がいたらしい。
それで1年だけでも思い出をつくってこの気持ちにけりをつけたい。ということだった。
「でも告白されたとき、俺は先輩のこと別に恋愛的には好きじゃなかったんですよ。だからぜんぜん平気だったんです。」
「...そうかもだけど、過去形ってことは、さ。」
「鋭いですね。」
好きになったのはいつだったのか。
はっきりしないけれど、でもたぶん最後は俺の方が好きだったんだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!