サン

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涙が出た次の瞬間にどう言い訳しようか考えた。 花粉、は微妙だな。 仕事とかはダサすぎる。 けど予想外に青柳さんは何も聞いてこなかった。 「今日は、飲んじゃう?」 と笑いながらグラスを持ち上げただけ。 それに、はい。とだけ答えて隣に座って、、 それでしばらくしてから不意に話したくなった。 「あの、ちょっと暗い話してもいいですか?」 「うん、もちろん!」 「俺、もう2年くらい前に付き合ってた人がいて、その人は大学の先輩だったんですけど、」 告白はあっちからだった。 好きだから付き合ってほしいと、シンプルに。 でもひとつだけ条件があった。 「...それで付き合う時に言われたんですよ、1年だけ俺と付き合ってって。」 「なんで1年?なの?」 「結婚が決まってたんです、相手の。」 「は?」 先輩は俺のことがすきだったけど、婚約者がいたらしい。 それで1年だけでも思い出をつくってこの気持ちにけりをつけたい。ということだった。 「でも告白されたとき、俺は先輩のこと別に恋愛的には好きじゃなかったんですよ。だからぜんぜん平気だったんです。」 「...そうかもだけど、過去形ってことは、さ。」 「鋭いですね。」 好きになったのはいつだったのか。 はっきりしないけれど、でもたぶん最後は俺の方が好きだったんだと思う。
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