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右手に温かい感触がして、そちらに視線をうつすと青柳さんの手が乗っていた。
子ども体温なのだろうか?すごく温かくて、ふっと張り詰めていた辛い気持ちが緩んだ気がする。
ちらりと横を見るとぐすぐすと泣いてる青柳さんが目に入る。
目元は軽く腫れかけているし、鼻も赤い。
ほんと、なんで泣いているんだろう。
人の失恋話で泣いている人なんて初めて見た。
でも不思議と嫌な感じはしなかった。
それどころか慰められる気がした。
人の話を一生懸命聞いて、思いきり感情移入して。
なんと言えばいいか、青柳さんを見ているとあの男なんかどうでもいいことのように思えてくる。
「ありがとうございます。」
いきなりお礼を言うと青柳さんは、不思議そうな顔でこっちを見る。
その顔がまたちょっと抜けてて、可愛いなんて思ったのは秘密である。
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