ヨン

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「お前、彼女とかいねーの?」 「いない。」 「えー、つまんねー。」 めんどくさい。 心底めんどくさい。 人の彼女の有無なんて聞いてどうすんだよ。 心の中で悪態をつきながら、ビールを喉に流す。 会社の飲み会は好きじゃない。 こんなもの定期的に開催して何が楽しいんだろうと思う。 唯一仲良い同僚は別の課で席が遠いし、ここの枝豆はあんまりおいしくない。 塩がききすぎてしょっぱい。 「じゃあさ、元カノとかは?」 しつこいやつだなと思う。 名前は黒田。下の名前は、知らない。 仕事はできるけど、酔う度に恋バナしたがるのをどうにかしてほしい。 なんでこいつと毎回席近いんだよ。 「ああ、これ。」 めんどくさくなって、黒豆の写真を見せる。 黒豆はいつ見ても、写真でも可愛い。 ふわふわしてて目はクリクリだ。 「いや、犬じゃん!」 黒田の言うことは無視してスマホをスクロールする。 こっそりと撮った青柳さんと黒豆のツーショットが出てきて、少しだけ癒された気がする。 「....寝顔、ぶさいくだなあ。」 「なに?なんか言ったか?」 なんでもない。と答えしばらくその写真を眺めた。
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