ヨン

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特技はなんですか?と聞かれて1番最初に思いつくのは、さらっと抜けることだと思う。 「二次会いこーぜー!!」 テンション高い酔っ払い達の間をかき分けて、ささっと抜けた。 会費は早いうちに払っておいたし、俺はもう帰っても大丈夫だろう。 課長に捕まると面倒だし早く駅に向かおう。 俺が電車乗ったぐらいに、 「あれ、あいつどーした?帰った?」 ってなるのが理想だ。 いつもこんな感じだし、二次会とか出たことないし誰も気にしないはずだ。 そおっと駅の方向に踏み出したとき、 「あれぇ、帰っちゃうのぉ?」 と後ろから声をかけられる。 最悪だ、と思い後ろを振り返る。 ああ、佐久間か。 同じ部署のやつだ。年齢も同じぐらいだったっけか? 「風見くんいつも帰っちゃうから、つまんなぁい。」 そんなこと言われたって帰るものは帰る。 というか、佐久間は美人だし俺なんかいなくても男は寄ってくるだろ。 「家で待ってるのがいるからさ。」 「えー、誰それぇ。彼女?」 「それは、秘密ってことで。」 まぁ待ってるのは犬だけど。 そんなことを胸の中で呟きながら、駅に向かって歩き出した。 そこで、ふとある光景を見つけて思わず立ち止まってしまった。
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