そんな顔しないでくれ、

ヨン

向こう側の飲み屋から出てくるのはたぶん青柳さんだろう。

あのコートはよく目にするし、人間違いってことは無いはずだ。

青柳さんを見かけたことは別になんの問題もない。
ただ、隣の男が目に付いた。

背が高くて、(いや青柳さんが小さいだけかもしれないが)なんか爽やかそうなやつ。

....距離近くないか？

話すときにあんなに顔近づける必要ないだろ。

特に理由は思い当たらないが、見ているとイライラしてくるから見るのをやめた。

「...帰ろ。」

いつも俺の顔見てはにこにこしてるくせに。
あんなよくわかんないやつにぺったりくっつくとか。

いや、この場合よくわかんないやつって俺になるのか？

会社違うし、名前ぐらいしか個人情報知らないし。

「....今度、生年月日でも聞くか。」

とりあえず早いうちにあの爽やかそうなやつに情報量は追いついておきたい。....なんとなく。