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『お店に先入ってるね。』
もうずっと使ってなかった連絡先から届くメッセージを見つめる。
先輩の連絡先を消さなかったのは未練のためだろうけど、もしかしたら今日のためかもしれない。
...でも今日終わったら消す。
連絡先も消して、ケジメもつけて、本当の意味で忘れてやる。
深呼吸を2度してから店に入った。
店員に案内され席に連れてかれる。
「久しぶり、克樹。」
「どうも。」
にこっと微笑むその仕草は何も変わっていない。
けど、
「あの、今日はわざわざありがとうございます。」
「いいよ。僕もずっと克樹くんのこと気になってたからさ。元気にしてる?」
「はい。それなりに。」
少し他愛もない世間話をしながら注文を済ませる。
「奥さん、元気ですか?」
「うん、ミホは元気だよ。最近は料理にはまってるみたい。」
こういうちょっとした先輩の幸せを知るごとに胸が少し痛む。
けど、今日はそれほどでもない。
「先輩、どうして俺と付き合おうと思ったんですか?」
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