イチ

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もう冬に近づいてきているから外は寒い。 青柳さんは、冷えた空に頭がさめてきたのか寂しそうな顔をしていた。 「俺、どうやったら誰かの1番になれるんだろうね。」 そう言って、静かに白い息をはく。 「いっつもさ、結局こうなるんだ。」 その横顔を見た途端、心臓がつぶされたのかと思った。 何かを諦めたような、今にも泣き出しそうな、そんな顔だった。 早く目をそらして見なかったことにすればいいと思うのに、目は離せない。 「.....ちょっ、克樹くん?え、頭にゴミでもついてた?」 青柳さんの言葉で我に返ると、 どうやら俺は無意識のうちに青柳さんの頭を雑に撫でていた、らしい。 その証拠に青柳さんの頭はぼさぼさになっている。 いきなり訳分からないことをされたからか、青柳さんの表情がさっきのものでは無くなっていることにひとまずほっとする。 「いや、こっちの方が可愛くなるかなあと。」 「ぜっったい、ならない!!」 慌てた心を隠すように、少しからかってしまうのは、男子の頃の習性なのかもしれない。 それにしても、なんでああんなに動揺したのかは分からないが、もう二度とあんな顔してほしくないと本気で思った。
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