会話文を生き生きさせたい

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会話文を生き生きさせたい

 前回に引き続き、描写の仕方にうなっている橘やよいです。もう、本当に執筆って正解がないから難しいですね!  ということで、また描写について考えてみましょう! 「会話文を生き生きさせたい」  前ページで、地の文より会話文の方が目に入りやすいかも~みたいな話をしました。じゃあ会話文にどこまで期待していいの? 地の文いらないの? って話ですよね。  地の文はいるよ! 大事だよ! 前ページでちょっとひどい扱いしちゃってごめんなさい! ということで、地の文の大切さを考えてみる。下記の描写があったとします。 ***** 「やっと最後の戦いが始まる。中級悪魔戦で死んでしまったあいつのためにも、最後の戦い、絶対勝つ」 「そう簡単にいくと思うなよ」 「えっ……、どうして、昔死んだはずの父さんがここにいるんだ……!」 「最後の敵は、この俺だ。息子よ」 *****  会話文ばかり、いかがでしょうか。  だれがなんのセリフ言っているのか分かりにくい気がします。  あと、すごい説明してくれるじゃん……と私は思う。主人公一人で語りまくっていますが、実際これだけしゃべる人っていないと思うんです。  カッコで囲われた文章は目立ちます。でも目立つからこそ、本当に大事なところにしぼって書いてあげるといいんじゃないかなと思います。  セリフで説明しすぎると、人物が都合よく動く人形みたいになってしまいます。もっと感情をもった一人の人間として、物語の中で生きてほしい。  ということで、頑張って改稿します! ***** 「やっと最後の戦いだ」  ここまで来るのに、たくさんの犠牲があった。中級悪魔戦では、大切な仲間を一人失った。俺のためにと命を賭したあいつのためにも、この戦い――。 「絶対勝つ」 「そう簡単にいくと思うなよ」  突然、背後から声がした。それはひどく懐かしい声だった。 「えっ……」  思わず、声を失った。どうして、と口の中で言葉が詰まる。 「父さん」  やっと落としたその声に、目の前に立つ男の口の端が吊り上がった。 「どうして、だって、父さんは、死んだはず……」  昔、集落を悪魔に焼かれて、生き残ったのは俺だけだったはず。それなのに、目の前に立つのは、たしかに父さんの姿をしていた。幼い頃、俺が憧れた姿だ。  どうして。  男は醜い笑みを浮かべた。 「最後の敵は、この俺だ。息子よ」 *****  こんな感じでいかがでしょうか。 〇最初の主人公のひとりごとが長かったので、短く。説明は地の文へ。たぶんあんな長いひとりごとを言う人はいない。 〇セリフがだれのものか分かりやすいように、地の文で動作などを補う。 〇「昔死んだはずの父さんが」なんて説明口調で人はしゃべらないはず。もうちょっと感情的に。  上記の感じで改稿しました。  あとは大事なキーワードはなるべく目立つように、「最後の戦い」「父さん」「父さんは死んだ」あたりは会話文にねじこみました。地の文は飛ばして読みがちというのを前ページでお話したので、大事なキーワードは会話文へ。  これで会話文だけ見ても、なんとなく内容が分かります。試しに会話文だけつまんで読んでみてください。「死んだはずのパパがラスボスなんだって」という内容は分かります。  速読するときの私に優しい文章です。  最初にあげた例文より、人間味があって展開も分かりやすい文章になっているといいな。  地の文は大切です。地の文と会話文でメリハリをつけてこそ、小説は楽しいと思うのです。  とはいえ、どこまで会話文に入れていいのかって迷います。私がこの主人公の立場だったら、「これが最後の戦いだ」って短い文でも言葉には出しません。せいぜい心の中でつぶやきます。  小説とか漫画とかアニメって、ひとりごと言い過ぎだと思う。  しかしそこはフィクションなので。いい塩梅で調整しましょう。いい塩梅がどれくらいなのかが分からないんですけどね! まだまだ修行中の身ですから、今後も模索していきます! ~まとめ~ ・会話文が説明口調だとリアルさがない ・地の文も大事だよ! ・地の文と会話文、メリハリつけよう! ・いい塩梅は自分で探せ!
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