55人が本棚に入れています
本棚に追加
引力の強い冒頭とは?
2万字書いては全削除して書き直し×4回目の、橘やよいです。
なにかって、新しい長編を「なんか違う!」と4回書き直している最中なんですね。没6万字! 笑ってしまう! でも、それだけ冒頭大事だと思っているので!
(一か所にこだわらずに、いったん次のシーンに進むというのも大事な選択肢ですよ。皆さんは没6万字を真似する必要はないですからね! そもそも没を生み出さないのが理想!)
ということで、今回は冒頭のお話です。
「引力の強い冒頭とは?」
(人を引き込む魅力をもった冒頭とは)
冒頭に現座進行形でうなっている私です。で、「それってどうなるの?」と読者にいち早く思わせることが、大切なのかなと思いました。
推理小説だとよく言いますよね。「早く死体を転がせ」と。謎は強いです。疑問を持ってしまえば、回答がほしくなるのが人の性。「これどうなるの?」と思ってもらえれば、それが続きを読み進める原動力になるはずです。早く事件を起こしましょう。
ちなみに推理小説の読者は謎解きを求めているわけなので、事件こそが「読者の需要」となります。読者の欲しいと思っているものを早く提供してあげるのが吉。探偵が起きて、朝ごはん食べて、新聞読んで、子猫と遊んで、散歩して、一人でぼーっとのんびり過ごす冒頭が長々と続けば、「推理は?」「私の求めているのはそうじゃない!」と読者に思わせてしまう可能性が。(そんな日常を魅力的に書ける方もいて、すごいなあと思うのですが。私には難しい!)
推理小説の「早く死体を転がせ!」は、「この先どうなるの?」×「これが欲しかった!」の合わせ技なので強いわけでね。
では推理小説以外はどうするのか。ファンタジーとかヒューマンドラマは? 人が死なない話なら? 大丈夫、それでも謎は、強いはず! 事件じゃなくてもいいんです。読者に「え?」と思ってもらえれば。
たとえば。
・この世界には天使のように優しい悪魔がいる→「悪魔なのに優しいの? どういうこと?」
・入社1日目だけど退職した→「なんで1日で! なにがあった?」
などなど。「○○なのに△△」も強いです。
しかし書きたいことは上のようなものなのに、面白くない冒頭になってしまうこともあります。そんな例も考えてみました。仮のタイトルとキャッチコピーも作ってみたので、あわせてどうぞ。
*****
タイトル:天使みたいな悪魔ちゃん
キャッチコピー:心優しすぎる悪魔が、五種族の争いを終わらせるため頑張るファンタジー
「この世界には天使と悪魔とエルフと妖精と人間がいる。天使は天界に住む翼の生えた種族で、悪魔は魔界に住む。エルフは森に、妖精は花畑に、人間は里に……。昔からこの五種族の間では争いが絶えず、やがて地は荒れ果てた。一回目の小競り合いは百年前にうんたらかんたら……、そんな中、天使のように優しい悪魔が生まれたのであった」
*****
いかがでしょうか。「説明長いわ!」と私なら思います。結局言いたいのは、最後の一文なんですが、そこまでの道のりが長い。
世界観や用語の説明をしなきゃ! っていうのはすごくわかります。わかるけど、学校の授業で先生の説明聞くの眠いじゃないですか。説明を面白くするのって大変だと思います。だったら、説明は後回しで、面白い結論を先に出す方がいい。つまり、「天使のように優しい悪魔が生まれた」と最初にもってくる方がいいはず。
「どういうこと? どんな子なの?」と思ってもられば、続きを読んでくれる率は高まるかと思います。お話に引き込んでから、詳しい世界観などなど、なるべく説明臭くならないように、自然に組み込めたら素敵。
そしてタイトルとキャッチコピーも大切。読者はそれらを見て、「優しい悪魔が頑張るお話か、どんな子かなあ」と予想しながら最初の1ページを開くと思うんです。そこで世界観のながーい説明がくると「……主人公がこないんだが!」とヤキモキしてしまうかも。読者の「悪魔ちゃんはやく登場して!」という思いに応えて、さくさくっと登場させてあげるのが吉かなと思います。
説明から入るのは難易度高い。読者が「なあにそれ?」と思ってもらえることを最初に書く。それが読者の求めているものであれば、なおよし。そんなところが冒頭を魅了的にする要素の一つではないでしょうか。
以上、引力の強い冒頭の考察でした。
さて私は4回目の冒頭チャレンジ、頑張りますー!
まとめ
・冒頭には「それってどうなるの?」「なあにそれ?」のエッセンスを
・読者の求めるものを提供しよう
・説明は眠い
最初のコメントを投稿しよう!