お昼ごはんは、濃厚カルボナーラ。

1/4
75人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ

お昼ごはんは、濃厚カルボナーラ。

 いつもと代わり映えのない仕事。その山を見ながら、朝礼を聞き流していれば、いつのまにか終わってたようで名前が呼ばれる。 「福代! 聞いてるの?」  お昼ごはんは何を食べに行こうかなぁと現実逃避していた私に何か話しかけていたようで我が課のお局さま、菊池美智子がキッと目を吊り上げて睨んでいる。彼女が私の課の実質的なリーダーだ。 「あ、すみません。なんでしょうか」 「コミュニケーションも仕事の一環。ランチ会に参加してもらえる?」  パスタ会。心の中で、そう呼んでいるランチ会にお呼ばれしたらしい。キラキラ可愛らしいお化粧をして、キラキラ着飾って腹も膨れないような物をちまちま食べるお昼会。通称パスタ会。私の中で呼んでるだけ、だけど。 「えっと、それは……」 「福代は、強制参加ね。また、誘いに来るから。じゃ」  言いつけるだけ言いつけて、そそくさと自分の席に戻る。そんな会になんて、行きたくないよ。断ることもできない意気地なしな私は、少しでもご飯が美味しいことにだけ期待をする。毎日毎日飽きもせず、いろいろな店を開拓してるんだからそりゃあ、美味しいんでしょうね。なんて嫌味の一つでも言いたいくらいだ。  今日は、朝からついてないなぁ。心の中がドロドロと濁っていくようなことばかり考えてしまう。  けれど、仕事は待ってくれない。髪の毛を一つに無理やりまとめて、メガネを掛ける。気分が仕事へと向いていき、余計な雑念は頭の中に浮かばなくなってきていた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!