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私の集中を途切れさせたのは、菊池さんの一声。
「時間よ。行きましょう」
ゾロゾロと後ろにキラキラ女子を侍らせている菊池さんの方を向けば、早くしてと顔に書いてあった。私には結局拒否権はない。キラキラ女子たちを見渡せば、見慣れない男性が1人混じっている。なんだっけ、佐々木さんだったかな。ソワソワと落ち着かない風に、体を揺らしていた。彼も、私も同じく無理やり呼ばれたのかな、なんて親近感が湧く。
▽
連れて行かれたお店は、小洒落たイタリアン。メニュー表を見て、目玉が飛び出すかと思った。ランチだけで1100円。パスタとバゲット、それにサラダとスープ。色々ついてるとは言え、ランチに1100円もこの人たち毎回出してんの? 同じ給料を貰ってるはずなのに、なんでそんな贅沢できるんだろう。
「みんなは、何にする? 私はAのボロネーゼかしら」
腰巾着たちは、うんうんとうなずいて同じものを指さしている。私は、断然Bのカルボナーラだと思うんだけど。
言いづらい空気を感じながらも、恐る恐るカルボナーラの方に手を伸ばせば佐々木さん? と手がぶつかる。
「あら、2人はカルボナーラね。じゃあ、注文するわ」
特に咎めもされず、あっさりとカルボナーラの注文が通ったのは佐々木さんのお陰だろうか。ありがとうという気持ちを込めて目線を向ければ、彼はキラキラ女子その①を見つめていた。
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