お昼ごはんは、濃厚カルボナーラ。

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「そういえば、なんだけど……」  菊池さんがもったいぶるように話を始めたのを片耳で聞きながら、ぷるんっと揺れる黄身を潰す。とろりと流れ出した黄身がパスタの隙間へと落ちていく。フォークで巻いて一口食べれば、濃厚なチーズの味がする。美味しい。 「佐々木くん結婚するのよね、おめでとう」 「あはは、お恥ずかしながらありがとうございます」 「お幸せにね!」  ついてきたコンソメスープをゆっくりと味わいながら話に少しだけ耳を傾ければ、佐々木さん(合ってた)が結婚するようだ。結婚祝いのために呼んだにしては、相手がいなくない?まぁどうでもいいんだけど。スープは甘い優しい味のする玉ねぎが沈んでいて気持ちがホッとする。 「聞いてる?」  バケットにカルボナーラのソースをつけながら、噛めば噛みごたえのある固めのバケットで小麦の味がしっかりする。さすが、1100円もするだけある。パスタに集中しすぎていたようで、隣に座ってたキラキラ女子②に肩を叩かれる。 「え? はい」 「聞いてないわよね。なんで誘ったかわかってる?」  顔に怒りマークがついてる菊池さんから、目を逸らす。私は拒否したかったのに勝手に連れてきたのそっちなんだけどなぁ。 「美奈ちゃんが、結婚するからお祝いの品代表で選んでくれない?」  結婚するのは、佐々木さんだけじゃないらしくキラキラ女子のうちの誰かもするようだ。それを、よりによってなんで私なんかが。 「私なんかより……」 「お願いね!」  私の意見は聞かずにはっきりと押し付けられる。いじめ、パワハラ。訴えれるんじゃないかな。
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