夜ご飯は、焼き鳥で。

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夜ご飯は、焼き鳥で。

 今日の1日の鬱憤を晴らすかのように、ぼんじりを頬張る。脂がジュワッと口の中で広がって美味しい。 「本当今日はついていない……」  キラキラと脂をまとって、白い肌を輝かせる鳥ももを眺める。お肉の脂の匂いをつまみに、レゲェパンチを飲み干す。 「レゲパンもう一杯お願いしまーす!」  店員さんに大声をかければ、元気の良い返事が返ってくる。ここの店員は生き生きとしていて、仕事が本当に楽しそうに見える。 「ねぇねぇお姉さん。隣いい?」  いつもだったら断るナンパのような質問に、無意識に頷く。声をかけてきた相手を見れば、お昼パスタを啜ってたイケメン。 「俺と一緒に、飲もうよ」 「いいよ」  ふわふわの茶色っぽい髪の毛、くるんと天然パーマらしくうねっているところが猫みたいだなと思う。たれ目の二重の目は、瞳孔が開いて光を取り込んでいてキラキラと輝いている。 「カシラ食べた?」  ビールを一息で飲み干して、笑った顔は可愛らしい。ついつい、イケメンに見惚れてしまう。ごまかすように、3杯目となるレゲェパンチを飲み干す。甘さとさっぱり感で、酔いを全然感じない。いやイケメンとこうやって2人で飲んでる状況に酔っ払ってるかも。 「食べてない」 「めっちゃ美味しいよ。食べてみてよ」  素直にこくんと頷いて、注文を済ませれば店員たちがこそこそと話しているのが耳に入る。これだけ、イケメンだもんそりゃあ噂話の対象になるよな。  そしてそんなイケメンと2人で飲んでるという状況に、誇らしく感じる。付き合ってるとかではないのに。  運ばれてきたカシラを噛めば、豚バラとも豚ロースとも違う絶妙な脂身と赤身肉とのバランスに舌鼓を打つ。 「カシラ美味しい!」 「でしょ。俺のおすすめ」
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