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嬉しそうに微笑んだ顔もかっこよくて、めまいがする。後ろに倒れ込みそうになれば、見た目とは裏腹な力強い筋肉質な腕に抱き止められる。
「お姉さん飲み過ぎじゃない? 大丈夫?」
「大丈夫!」
体勢を立て直そうとすれば体に力が入らない。とろんと溶け出して隣のイケメンに寄りかかってしまう。
「帰ろう。送ってくよ、家どこ?」
危機感のかけらもなく、家の場所をイケメンに耳打ちする。会計をささっとすませて、肩を貸してくれる。
「ほんとーに、いけめんだよねぇ」
舐め回すようにイケメンの顔を見つめながら、体を預ける。そこまで離れていない家までの道のりをゆっくりと2人で歩く。
「ずっとそればっかりだよ。お姉さん」
「ふくよ」
「なに?」
「ふくよってよんで」
「んーじゃあ、ふくふくちゃん。ぴったりな名前だよね」
可愛らしいあだ名に、笑ってしまう。空を見上げれば、星がきれいに輝いてる。
「なんて呼べばいいの」
「つーくんでいいよ」
「つーくん」
あだ名をぽつりと口の中で反芻させる。なんとなく、彼に似合ってる気がした。外の寒気にさらされて酔いが覚めてくる。
「家そこだから、ありがと」
「え?」
「ん?」
「泊めてくれるって、言ってたじゃんふくふくちゃん」
酔っ払って口に出したのか、いやそんな記憶はない。けれど、つーくんの目は嘘をついていないように真剣で、気の弱い私は断れそうになかった。
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