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「いっ……」
芝野宮がビクッと反応する。
だが、すぐにまた目を瞑り、寝息を立て始めた。
中指から小指にかけての付け根のライン。ここにグッと優しく圧をかけていった際に見られた反応。
このラインは、目や耳と反射していると言われている。
スイは、さっき芝野宮が言っていたことを思い出した。
新人の子……。
やはり、この感覚器官に反応があるということは、相当敏感になっているということだ。
目と耳で新人の子の動きを感知してしまう。
そしてその行動がいちいち癪に障ってしまい、イライラが募る。
何でそこまでイライラするのだろうか。
最初から仕事ができないのは、ごく当たり前なはずなのに。
言われたことをガムシャラにこなそうとして、結果的にできなかっただけじゃないのか? それとも、男にはわかり得ない感情なのか……。
指を動かしながら、スイは頭の隅の方で、芝野宮の発言の意図を考え込んでいる。
思えば、芝野宮は息子に対してもイライラが募っていた。
期待通りの道を歩かなかったからか。
でもその新人の子と似ていて、男らしくないと言っていた。
何がイライラの原因の根本なのか、スイは自分なりに整理をしてみた……。
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