一章.サロン・ルポゼでハミングを

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 頭の隅で母親を想った瞬間に、また新たな反応が見られた。 ”コリコリッ”  踵周りを刺激していた時、指先で小さな物質を砕いた。  これはリフレクソロジーでは、”クリスタル”と呼ばれている物質。  この小石が詰まっているような感覚があった場合、その部位が不調気味であることを意味している。  クリスタルは細かく砕き、血液で流され尿として排出される。  そのため、施術後は水分をなるべく摂るように勧めることが多い。  踵周りは、腰と反射している。  腰痛は女性の場合、肩こりに次いで訴えの多い症状と言われている。  芝野宮の場合は、痛みがあるようなことは言っていなかった。  だけど、デスクワーク等の長時間同じ姿勢でいる仕事の人には、反応が表れやすい。  そう……。  最初のコンサルテーションの通りの反応だった。  セラピストとしては、納得の流れだ。  左右の施術が終わり、あとはお疲れポイントを念入りに行う。  芝野宮の場合は目・耳、そして腰だ。  時間は残り僅かで、ペース配分もいい感じだ。  大体はこの残りの時間で、施術後の振り返りで伝えるアドバイスを整理する。  時計の針はもうすぐ一周。  それを見計らって、最後のクールダウンを行う。
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