五章.サロン・ルポゼとストライカー

2/19
188人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
 今月末、みなみは大事な日を迎えることになる。  それは、みなみがセラピストになれるかどうか、決定する日だ。  それと同時に、来月のコンペティションに出場できるかどうかも、決まる日になる。  セラピストのプロライセンスがなければ、そのコンペティションには出場できない。  今がちょうど追い込み時で、毎日数時間の勉強は欠かせなかった。 「やあみなみちゃん、今日もテキストとにらめっこだね」 「あ、スイさんおはようございます」  朝一番、今日はみなみが店を開ける番だった。  オープンと同時に、爽やかな顔でスイが出勤してくる。  店明けの準備は、至って簡単。  レジ開けと、ハーブティーのお湯を作ること、あとは店内の軽い掃除くらいだ。  今日の予約は何も入っておらず、飛び込みのお客様を待つのみである。 「スイさん、施術って奥が深いですね」 「今更気づいたの? そうだよ。プロライセンスを取った今でも、毎日の勉強は怠らないからね」 「スイさん、今でも勉強してるんですか?」 「もちろん。お客様が聞いたことのない症状をお持ちだったりするからさ。あとはハーブティーやアロマの知識も大切だからね」 「ひぇぇ~、私にできるかな~」 「大丈夫、俺でもやってるんだから、みなみちゃんはもっとできるようになるよ。分からないところがあったら何でも聞いてね」
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!