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まさかの登場で、スイは仰天してしまう。
ここ二週間は時間が合わなかったが、連絡はマメに取っていたつもりだったのに、いきなりサロンに来るなんて……何の用なのだろうか。
「ごめん、来ちゃった」
「どうしたんだよ急に。来るなら言ってくれればいいのに」
「びっくりさせたかったのよ。あ、初めまして」
隣で唖然としているみなみに、ユアは挨拶をし始める。
みなみも、固まっていた体を起こすように、シャキッと一礼した。
「は、はじめまして! 井手みなみと申します! 首藤さんにはとてもお世話になっております!」
「あなたがみなみさんね? 帆足優愛と申します。こちらこそ、いつもスイがお世話になっております。話は聞いているのよ、ルポゼにも可愛いスタッフがいるって」
「おい、やめろって。ていうかどうして来たの?」
「たまたま近くを通りがかっただけよ。今日は休みって言ったでしょ? よく考えたら、一回もルポゼさんにはお邪魔したことなかったからね」
「そういうことか。どうする? 予約入ってないけど、施術受けていく?」
「いいや、遠慮する。今日は帰ってゆっくりしようかな」
みなみが置いてけぼりになっているのを、スイは薄々感じていた。
こんなプライベートトークは、後からでもできる……。
スイがみなみに話を振ろうとしたタイミングで、みなみがユアに向けて、何かを話したそうにしているのに気がついた。
「あ、あの……」
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