五章.サロン・ルポゼとストライカー

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「ん、どうしたの? みなみさん?」 「帆足さんも……コンペティション出るんですよね?」  コンペティションで、二人は会うことになる……そう考えると、先に挨拶を済ませておいて良かったのかもしれない。  みなみの言葉で、スイは一つ納得ができた。  それよりも前に、資格試験があることをみなみが忘れていそうで、スイはすぐにまた心配になった。 「私も、出場するんです。その時は是非、よろしくお願いします!」 「あ、そうなんだ! よろしくね! でもその前に資格試験があるんじゃない?」 「そうでした、すっかり忘れてた」  みなみが案の定のリアクションをして、スイはガクッと肩を落とした。  あとでもう一度、資格試験の重要さを説くことを心に決める。 「まあスイもいるし、合格するでしょ。そうなったら真剣勝負、絶対負けないからね!」 「はい! 望むところです!」 「じゃあそろそろ帰るね。ごめんね、突然お邪魔して。また連絡するから」 「わかった。気をつけて」  今まで来た道を振り返り、軽快に歩き始めた背中を見送る。  十分な春風を感じたみなみは、その場では何も言わないままサロンの中に入った。  無言のまま戻るその姿に、スイは変な感覚を覚える。  いつもお見送りの後は、みなみと色々会話しながらサロンに戻るはずなのに、今日はどうしたのだろうか。 「スイさん……」
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