2.若い女の子、久しぶり

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2.若い女の子、久しぶり

 そのテーブルには既に、本多先輩が仕上げたデザイン画が置かれている。 「これですか。本多君」 「はい」  真田社長は椅子に座るとすぐにそのデザイン画を手に取った。  本多先輩と琴子マネージャーも正面の椅子に座った。 「瀬戸内らしい、でもやわらかくやさしい安らぎを与えるものを――というご要望にて、このように仕上げてみました」  いくつかのカットを並べたものを本多先輩が提示する。  彼らしい洗練されたラインとハイセンスなもの。どんなに行き詰まっても、十数点のカットやイメージラフを期限までにひねり出せるその能力を間近で見てきた梓は感嘆する。  今回も大人っぽくてお洒落。どこか外国のものに見える。  梓はアシスタント。琴子マネージャーに教わったとおりに紅茶を煎れて、それをお客様と先輩たちの分と持っていく。  お茶を持っていくと。テーブルの雰囲気が一変していた。  いつも会話が弾んでいる商談で、真田社長も『さすが本多君、これいいな』と嬉しそうにラフを眺めるはずなのに黙り込んでいて、本多先輩も自信に満ちた顔で仕上がりについて多弁になるのに黙っている。  琴子マネージャーも神妙な面持ちだった。
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