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「3番テーブル、OK!」
その日も厨房は熱気とコンロの熱で沸き立っていた。溢れかえる様々な食材の香り。
僕の声に、ギャルソンが皿を慎重にすくいあげてホールに向かう。
僕が働いている『ヴァニタス』は、今最も注目されている最先端のレストラン。どんなに科学技術が発達しても、新たな味覚の発見に機械は取って代われない。
僕の仕事はアントルメティエといって、前菜やスープを作る担当。毎日食材を切り分け、皿に盛って、ソースで幾何学的な絵を描く。
この仕事は結構好き。今も2皿、素敵な絵が描けた。昔から絵を見たり描いたりするのは好きで、この職場にいられるのも僕の美的センスが買われたんだと思う。
この絵はね、僕の大事な人が好んでいたもの。
同僚や先輩からなんの絵なの? ってよく聞かれるけど、ちょっと説明しがたい。僕の秘密に関わることだから。
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