第六章 きっと、大丈夫

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「いじめたりしてほんとすまない。悪気はないから」 申し訳なさからなのか、顔を俯かせて椿は言った。それを聞いた仁菜は、首をふるふると横に振る。 「いいのいいの。本当に悪いのはあんたじゃないから。それに結局は全部解決したし。終わりよければすべてよし。みたいな?後悔も未練もないよ」 精一杯の笑顔を作り、仁菜は言った。それは嘘をついて強がっているような、そんな感じだった。 それが私の知る、本来の仁菜。弱音を吐くところなんて、全然目にしたことがなかった。 だからこそ……。 私からの最後の恩返し、させて。 掌を強く握る。それから椿の背中を強く押した。 それに反応した椿は大きく頷く。 「仁菜さん、俺のこと好きでいてくれてありがとな。ひどいこと、たくさんしたのに。気持ちは受け取った」 頬を赤く染めながら椿は言う。仁菜は信じられない、と目をぱちくりさせてから、私に困ったような笑みを向けた。 「もう、恥ずかしいじゃないの。胡桃ったら」 そう言う仁菜の瞳からは、涙の雫が溢れていた。きっと嬉し泣きなのだろう。 「でもまあ、ありがとね」 涙を小指で拭いながらぶっきらぼうな声で、仁菜は言う。その涙と、浮かべた幸せそうな笑顔に、自然ともらい泣きをしそうになった。 その近くで咲結と紡さんは、柔らかく微笑んでいた。
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