881人が本棚に入れています
本棚に追加
あやかしを探しています
課長、まだ落ち込んでいるようだ……と思いながら、萌子は社食で遠い目をしている総司を見ていた。
ダイダラボッチが消えた寂しさを一つ目小僧が癒してくれるかと思いきや。
一つ目小僧は、街中で会った可愛い子どもに、あっさり憑いていってしまったのだ。
「……週末、またあの穴を見に行こう。
また、新しいあやかしが湧いてくるかもしれん」
そう言う総司に、はあ、と言いながら、萌子は、
別に常にあやかしを憑けていなくてもいいんでは……と思ってはいたのだが。
自分もウリが消えたら寂しいだろうなと思うので、ちょっと気持ちはわからないでもない。
「課長、ウリ、貸してあげましょうか?」
と今も、どどどどっと社食の中を駆け回っているウリを視線で追いながら、萌子は言った。
最初のコメントを投稿しよう!