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「なんでだ?」
と総司が顔を上げて問う。
「だって……たぶん、ウリが課長との縁を結んでくれたから」
と萌子が俯き、照れながら言ったとき、
「……この二人は置いていこう」
と言う理の声が聞こえてきた。
さっきまで聞いていなかったはずの理たちが、けっ、という顔でこちらを見ている。
めぐが文句を言ってきた。
「なによ、もう~っ。
社内でも遠慮なくラブラブしちゃって~っ。
普通、社内恋愛って、ひっそりやらないっ?」
だが、総司は、
「ひっそりする必要が何処にある。
陰に隠れてなきゃいけないのは、別れるかもしれないと思っているからだ。
俺はこいつとは別れるつもりはないから、なにもコソコソする必要はない」
と言い切った。
「いや~、でも、世の中にはいろいろ不測の事態ってのがあると思うんだけどね……」
と理は言ったが、
「ない」
と侯爵様は、また言い切る。
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