あやかしを探しています

6/20
前へ
/20ページ
次へ
「でも、いいなあ、ラブラブでー。  あー、俺も可愛い彼女が欲しいなあ」  社食を出たあと、自動販売機から缶コーヒーを取り出しながら、理が言う。 「……ひとりに絞ったら、彼女、できるんじゃないですかね?」 と藤崎が言っていた。  タラシの霊の後遺症なのか、理はすっかり気が多くなってしまっていた。  最早、瀬尾(せのお)と大差ない感じだ。 「でもまあ、俺たちも、そんなにラブラブではない」 と紙コップの()き立て珈琲を手に総司が言う。 「あれから、たいして進展もしていない。  いつでもなんでもしていいと思ったら、かえって緊張してしまってな」 と遠い目をする総司を見ながら、  いや、いつでもなんでもしてよくはないです……と萌子は思っていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

881人が本棚に入れています
本棚に追加