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「でも、いいなあ、ラブラブでー。
あー、俺も可愛い彼女が欲しいなあ」
社食を出たあと、自動販売機から缶コーヒーを取り出しながら、理が言う。
「……ひとりに絞ったら、彼女、できるんじゃないですかね?」
と藤崎が言っていた。
タラシの霊の後遺症なのか、理はすっかり気が多くなってしまっていた。
最早、瀬尾と大差ない感じだ。
「でもまあ、俺たちも、そんなにラブラブではない」
と紙コップの挽き立て珈琲を手に総司が言う。
「あれから、たいして進展もしていない。
いつでもなんでもしていいと思ったら、かえって緊張してしまってな」
と遠い目をする総司を見ながら、
いや、いつでもなんでもしてよくはないです……と萌子は思っていた。
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