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そこは、死がベッタリと染みついているかのような土地だった。
周辺の人々が、タマリと昔から呼んでいる場所だ。
周りは急峻な山で囲まれているが、使い古した鍋の底のようにそこだけが平坦な地面を張り付かせている。
それも酷く狭い土地だ。
取り囲む山々には、斜面を切り開き段々に重なった畑が見える。しかし、それも今は赤茶けた表土を晒しているだけだ。
陽炎が熱く焼けた地面の上で揺れている。
風が時折、地表の砂を巻き上げ立ち枯れた木々の葉を揺らす。
ほんの僅かな隙間に息づく生命の存在さえも許さないように、厳しい陽光が大地に降り注ぎ、全てを焼き尽くしているかのようだ。
小さな生き物たちは苦しげに喘ぎ、ただひっそりとやがて訪れる死の瞬間を待っているだけだった。
赤茶けた石がゴロゴロと転がり、澱んだ水が所々水溜まりを作るだけの小さな川を遡っていくと、一軒の見窄らしい家の屋根が見える。
瓦葺きの屋根の上にはその地特有の強い北西風の為か、漬け物大の石が一定の間隔を置いて置かれている。
家の周りはこれも強い風の影響か、先が皆一斉に一定方向に折り曲がった背の高い雑草に囲まれていた。
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