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暗い部屋の片隅には、これも生気のない目を天井に向けた少女が、不自然に折れ曲がった身体を横たえていた。
少女は時折掠れたような声で呻く。
その姿もまた、座り込んでいる少女と似たようなものだった。
ただその寝転んでいる少女の額、髪の生え際の辺りには無惨な疵痕が目立つ。
疵痕の回りは髪の毛も抜け落ちているので、薄く赤黒い肉芽が盛り上がった様は、思わず目を背けたくなるほど凄惨だった。
少女たちは血を分けた姉妹だった。
座り込んでいる方が妹で五つ。
横たわる姉は、七つ。
しかし姉は額にその疵を受けた時に、知能の発育が止まってしまった。
歩行も困難になるほどの障害が残った。
ああ、ああ、ああ。
姉がまた力無く呻いた。
妹はその声を聞くと、視線の先を姉に向ける。
その瞳は濁ったように生気が無かったが、その奥には深い悲しみが湛えられているかのように見えた。
ふうふうと、喘ぐような声が不規則な足音とともに家に近付いてくる。
座り込んでいた妹は、弾かれたようにそこから離れると姉の側に走った。
姉の身体をしっかりと抱く。
それと同時に、ヌッと白髪混じりのざんばら髪が、戸の隙間から暗い家の中に不意に現れた。
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