こんぺいとう

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「...おかしいですか?」 人形は不安で今にも泣き出しそうだった。 猫は疲れていたのか、目を閉じ静かに首を振ると床に伏した。 「おかしくない。..おかしくないよ..」 そう何度かつぶやいて、猫はそのまま眠ってしまった。 人形は途方に暮れて立ち上がった。 猫を起こさぬようにと、静かに座敷を出ると土間へ向かった。 戸棚の奥から大事そうに紙袋を取り出す。 人形には大好きなモノがあった。 それは色とりどりの 星 。 口にいれるとほんのりと広がる甘い香り。 願いを叶える不思議な食べ物。 人形は食べる時 必ず願いごとを言う。 「人間になれますように」 一粒 白い星を口に放り込む。 口の中で溶ける魔法 人形は祈る。 完全に星が消えるまで 何度も何度も 心の中で 「人間になりたい」 次に縁の柱に身を預ける佐屋のもとへ行き 「早くよくなりますように」 そう言い、佐屋の口に赤い星を放り込んだ。  そして、また祈る。 「早くよくなるように」 星が溶けるまで祈り続ける。 毎日、これをしているのに主は目覚める気配がない。 それでも 人形は信じる。 願いは叶うもの 祈りは届くもの  いつか
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