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「一姫にはまだ少し早いか」
「でしょう。怪我させないようお気をつけくださいね」
「ああ、気を付ける。女子の体に傷をつけては大変だからな」
そういいながら維盛は子供たちと目線を合わせると楽しそうに鞠を片手に説明を始めた。
彼は兄弟も多く、幼い頃から子供に接する機会が多かったこともあって子供の扱いには長けている。
子供と遊ぶ時だけは仕事のことも忘れ、年相応の少年のようなキラキラした楽しそうな笑顔を見せる。
凪子はそんな維盛の姿を見るのが好きだった。
「ほうら、行くぞ」
維盛は蹴り上げた鞠を足で巧みに操って見せた。
「父上、すごい…!」
「だろう?」
六代と一姫はとたんに目をキラキラと輝かせた。
さすがに一姫には難しそうだが、六代はやる気満々だ。
「ほら、六代もやってみろ」
「はい!」
六代は小さな両手で鞠を受け取ると蹴り上げた。
しかし、体の割に大きな鞠を上手く蹴ることができなくて地面に落ちてころころと転がった。
やはり父のようにはいかない。
それでも夢中になって六代は何度も何度も鞠を蹴り上げた。
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