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大学が終わり、門の前で待っている和哉を見つける。
「和哉…」
「和哉!」
駆け寄りながら声をかけると、誰かと被った。
俺はえ?と思い足を止めるが、その人は俺に目もくれず、和哉に向かって走っていく。
帽子に眼鏡をつけていて、顔は見えない。
でも、誰だかわかる。
「兄さん!?何でここにいるの!?」
阪宮宏哉さん。和哉の実の兄。
今朝テレビで見た時もイケメンだと思ったが、生だともっとだな。
変装をしてるつもりなんだろうけど、近くにいる人はみんな気づいている。
女子だけじゃなく、男子もきゃあきゃあ言ってるし。
「今日僕、午後オフなんだよ。だから母さんが久しぶりにみんなで夕食を食べないかって。ね、どう?行かない?」
「いいんだけど、俺先約があって」
そう言って和哉は目線を俺に向ける。
それを辿って宏哉さんが俺を見つける。
ん〜、と言いながらジロジロと見られる。
何?俺、なんかしたっけ?
「ごめんね。今日は僕に譲ってくれないかな?久しぶりに和哉と話したいことがたくさんあるんだ」
「え、えっと、いいですけど…」
なんとなく圧を感じた俺はそう返事をしてしまう。
和哉、怒ってるか…?…ない!OK!
「ありがとう!君、名前は?」
「清水瀬凪です」
「清水くん!これからも和哉をよろしくね」
そう言って和哉を乗ってきた車に乗せて、行ってしまった。
せっかく遊ぶ約束をしてたのに無くなっちゃったよ。
どうしよう。…帰ろう。
俺は車が見えなくなるまで見送って駅への道を歩き出した。
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