Episode.5 兄

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大学が終わり、門の前で待っている和哉を見つける。 「和哉…」 「和哉!」 駆け寄りながら声をかけると、誰かと被った。 俺はえ?と思い足を止めるが、その人は俺に目もくれず、和哉に向かって走っていく。 帽子に眼鏡をつけていて、顔は見えない。 でも、誰だかわかる。 「兄さん!?何でここにいるの!?」 阪宮宏哉さん。和哉の実の兄。 今朝テレビで見た時もイケメンだと思ったが、生だともっとだな。 変装をしてるつもりなんだろうけど、近くにいる人はみんな気づいている。 女子だけじゃなく、男子もきゃあきゃあ言ってるし。 「今日僕、午後オフなんだよ。だから母さんが久しぶりにみんなで夕食を食べないかって。ね、どう?行かない?」 「いいんだけど、俺先約があって」 そう言って和哉は目線を俺に向ける。 それを辿って宏哉さんが俺を見つける。 ん〜、と言いながらジロジロと見られる。 何?俺、なんかしたっけ? 「ごめんね。今日は僕に譲ってくれないかな?久しぶりに和哉と話したいことがたくさんあるんだ」 「え、えっと、いいですけど…」 なんとなく圧を感じた俺はそう返事をしてしまう。 和哉、怒ってるか…?…ない!OK! 「ありがとう!君、名前は?」 「清水瀬凪です」 「清水くん!これからも和哉をよろしくね」 そう言って和哉を乗ってきた車に乗せて、行ってしまった。 せっかく遊ぶ約束をしてたのに無くなっちゃったよ。 どうしよう。…帰ろう。 俺は車が見えなくなるまで見送って駅への道を歩き出した。
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