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第2話
それからわたしは家でも学校でも静かに暮らしていた。
少し秋めいた日、わたしはお昼休みにひとり本を読んでいました。
読んでいるのは児童向けのファンタジー小説で、
小学生の頃大好きだったものです。
この中学校の図書館にも入荷しているのが嬉しくて、
見つけたらすぐに借りたんだ。
そうそう、こんな展開だったよね~と集中して読んでいました。
だから、目の前の席に人が座るのも気づかなかったんだ。
「ねえ、それって面白い?」
声を掛けられて、わたしは顔を上げた。
それから、はじめてクラスメイトの存在に気づいたんだ。
若干釣り上がったような眉、瞳は勝ち気あふれるような感じ、
跳ねたようなショートカットの髪からは利発な印象を受けたんだ。
わたしは答えに詰まってしまった……。
彼女はまた尋ねてくる。
「ねえ、それって面白い?」
「うん、面白いよ。
小学生の頃から大好きなんですよ」
わたしは声をかけてもらって嬉しかった。
でも、人付き合いが苦手だから、なんて話せばよかったのかなあ。
こんなシンプルな風で良かったのか……。
つい、クラスメイトの顔をじいっと見るわたし。
すると、彼女は目をそらしながらこう答えたんだ。
「ずっと見られてると恥ずかしいわよ!
でも、私もそのシリーズ好きなんだよ」
わたしはとても嬉しくなった。
ハルカさんは、はじめてできた友人だった。
・・・
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