夢出会いし、愛

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夢出会いし、愛

 僕には、好きな人がいた。  だが、決して好きになっては、いけない相手だ。僕の恋が、実ることはない。そんなことはわかっているが、この想いは本物だ。  僕がこの想いに気づいたのは、六年前だったか。ふとしたとき、辛いときや落ち込んだときに、いつも優しく声をかけてくれた。ずっとそばにいてくれる彼女は、間違いなく僕の希望そのものだった。  そう…。僕の希望だったのだ。 「御遺族の方は、最後のお別れをお願いします」  父と母が涙を惜しみなく流す光景は、僕が初めて見るものだった。という僕も、たぶんだらしない表情している。  親戚や、祖父母たちが勢揃いの中、葬儀は執り行われた。棺桶で眠りにつく、傷ついた彼女は今日、この世を旅立つ。  僕は、親愛なる姉を失ったのだ。 ・・・・・  姉と別れを告げてから、一週間が経過した。僕は、未だに立ち直れずに、部屋に篭ったままだった。  カーテンで窓を覆い、ドアには鍵をかけ、薄暗い部屋でいつものように、布団を包まれた状態で、うずくまる。父や母からも心配され、声をかけられるが、返事は一切返さなかった。  正確には、返せなかったのかもしれない。僕は、自分を騙して、感情に嘘をついたような対応ができるほど、できた人間ではない。むしろ、例を見ぬほど弱い人間なのだ。 「姉さん…」
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